ぜんぶ嘘

一人恋愛議事録

16.きっと君の名前も忘れてしまう

私が具体的な恋について知る年頃になったとき、世間はちょうど純愛ブームでそのせいでか知らないけど私も人生にはたったひとつだけ真実の恋があるものだと疑うことすらしなかったような気がする。ご周知のとおり、私はこれが誰にとってもそうであるとは限ら…

15.いわゆる男を駄目にする女が恋をしたときのこと

私がまだ恋愛に対して純粋だったときのことですが、言い寄ってくる男が複数人いてもそのうち誰か一人しか選べないなんて、人の生とはなんと不自由なものであろうとよく嘆いていたものです。ツイッターみたいに複数アカウントで人生を運用できたらこれほど便…

14.みんなみんな大好きだよ

常にだれか特定の女と恋人関係になっていないと落ち着かないはずの彼が実際には自分のいいなりになる女なんて、つまらなくてすぐ飽きて捨ててしまうなんて云うもんだから、適当に説き伏せた何回目かのデートのあと、五月にしては眩しすぎる照りつけるような…

13.アンチヒロイズム

前述のとおり私はわりと多くの人々に異常扱いされたり腫れもの扱いされたりする人間なんだけれど、腫れものは腫れもの同士の集まりがあってそこではみんなお互い痛くない距離感でサバサバ生きてるし、昼があれば夜は必ずくるものなので、日が暮れていくこと…

12.いなばの白うさぎ

こんにちは。新年度いかがおすごしでしょうか。私は酒とセックスくらいしか楽しいことがないけど元気だし、いたって健康です。快楽主義の人間は非快楽主義の人間によく異常者とか病気扱いされるけど、あらゆる不健全なことはその行動ではなく精神性によるも…

11.BITCH IN THE BOX

女の貞操観念の有無というのは、人生における父性の欠落が原因だという電波を唐突に受信しました。私は長男から生まれた長女なので表向きは大切な箱入り娘として、小市民なりに手間暇かけて育てられたわけだけど、両親の夫婦仲は悪くわたしが子供のときは常…

10.すべては幻

私はずっと自分のことを品行方正でお淑やかな人間だと思い込んでた節があるんだけど、ずっとって言っても多分思春期くらいのころからだし、でもその思春期ですら細かく思い出せば人を巻き込んで盛大に暴れたりしてたんだけど、それはほとんど無意識なので、…

9.やってくる男を全員倒して一人になりたい

付き合った男がおかしくなるな〜とはっきり思ったのは最後の男と切れたあとだったけど、彼氏が狂うことを公言しているとモテないからないことにしてただけです。別にモテたいわけじゃないけど、私には男(体)が必要なのでチャンスをわざわざ減らすようなこ…

8.果たし得ない約束

遅れてきた青春がやってきて誰かを好きになることを知ったとき、私はもう一生ほかの誰かを好きにならずに済むと思ったら安心した。黒蜥蜴なら毒を飲んで死ぬところだけど、あいにく毒物は甘ったるいアルコールくらいしか用意がなかった。 先月買ったばかりの…

7.パンドラの箱

私のインターネット依存は重症だ。子供のときは家庭がめちゃくちゃだったから一人で使うパソコンはくだらないコミュニケーションが発生しない絶好の遊び道具だった。中学生くらいになったら自分用のマシンを買ってもらえたので家にいる間は過熱してファンが…

6.必要不可欠

もし東京がなくなったら。もし東京がなくなったら、君と君と君と君と君と君ともうほとんど覚えてない誰かと二度と会うことのない彼らとの思い出も、その中にいたはずの私さえも綺麗さっぱりなくなって、でもきっとまた気がついたらどこかわからない場所にい…

5.どちらでも同じこと

悪夢を見た。元恋人が恨み辛みを蒸し返して長文メールを送ってきたり周囲の人間が一緒になって攻撃してくるといった散々な内容。目が覚めたら久しぶりの雨だった。 私の人生はどうにもこうにも捻じくれてしまっているが基本的にゴムみたいな伸縮のある素材な…

4.ここにはなにもない

私は他人に対する共感、感情移入といった情動のようなものが希薄なのだろうか。人に対する興味や関心はあるのだが、相手の気持ちに乗り移る、寄り添うなどといった自他の境界を曖昧にするようなコミュニケーションがよくわからない。よくわからないが、どん…

3.恋愛と結婚を直結させるな

私は俗にいうダメな男とばかり付き合ってきた。ダメな男とは仕事がない、金もない、家も車も持ってない、おまけに性格は難ありで下手をするとまともに男女交際をしたことがないといううちの条件のどれかに当てはまる人たちのことです。こういう人たちは流石…

2.自分から逃げるやつは恋愛する資格がない

おまえにとっての恋愛ってつまりセックスのことかよみたいな話をしてしまったが、私はいわゆる性依存のような病的な状態ではないし、セックスができることによって自分の存在が保証されるだとか、承認の欲求が満たされるだとか、そういうややこしい葛藤を抱…

1.恋愛について

私の古い記憶の中では制服を校則通りに着てダサいメガネとお母さんが切ったモッサリしたショートカットで通りすがりのヤンキーに鼻で笑われるような根暗っていうのがセルフイメージなんですが、いつからかよくわかんないけど表参道とか原宿とかで高い金払っ…